原価率が高いという言葉に気を付けろ

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少し前に原価率が高いことを売りにしているブランドがありました。原価率というのは売り値に対する製造原価(生地代とか縫製工賃などの合計)が占める割合ですので、原価率が高い=商品の品質が高いと捉えがちです。でも必ずしもそうとは限りませんよ…という話です。

品質とは関係なく原価率を上げる方法

少量を生産する

ファッション製品も工業製品の一部ですので、よほど特殊な技術を必要とする製品や、工芸品みたいなアイテムでなければ、1度にたくさん作れば作るほど、生産性が高くなり原価は安くなります。いわゆる規模の経済というものです。工場によってはそれぞれ適正な生産ロット数というものがありますので、何枚でも作れるというわけではないのですが、例えば1つの商品を50枚だけ生産するとしたら、それなりのお金をかけないと生産はできないでしょう。生地や釦についても同様です。とにかく少量発注に対してはアップチャージがついてまわります。

生産過程に多くの人間を介在させる

ファッション業界は元々サプライチェーンが細かく細分化されており(細分化されすぎており?)、原料から商品を販売するまでに、多種多様な会社が関与しています。そしてこれは製品を発注するメーカーの知識がなければないほど、関与する会社は増え、当然中間マージンが追加され、原価は上がっていきます。知識が無ければ生産に必要な要素を外部委託せざるを得ないからです。全て丸投げしてしまうなんてことも日常的に行われてます。また知識がないことで足元を見られ、適正でないマージンを要求されることも起こり得ます。

適正でない縫製工場で生産を行う

餅は餅屋という言葉の通り、縫製工場はそれぞれ得意な商品があります。ドレスシャツが得意、チノパンは得意だけど、スーツのスラックスは縫えない。しっかりとした生地は縫えるけど、繊細な生地は苦手。1000枚以上のオーダー受けられない、3000枚以下のオーダーは断ります…などなど。

そういった知識がなく、あるいは知ってるけど適正のある工場では生産できなくて、仕方がなく不適正な工場で商品を作った場合には原価は高くなります。

売り値を下げる

これは買い手に取っては喜ばしいことかもしれませんが、売り値を下げれば原価率は上がります。でも商品の品質とは関係ありません。

まとめ

上記に列記した原価率アップの要因は、必ずしも商品の品質とは関係がないものです。

原価率が高いことを売りにしてるブランドは、実直に高品質な商品を、企業努力によって安価で提供しているものと信じます。でも必ずしも数字だけでは品質は測れないよ、ということは頭に入れておいても損はないと思います。

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