ファッションコレクションをどう見れば良いのか?

【ルック】「ドリス ヴァン ノッテン」2024年春夏コレクション - WWDJAPAN
「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」が2024年春夏コレクションを発表した。

2024年に向けたレディースのパリコレクションがスタートしています。

ファッションに関心がない人でもパリコレという単語は目にしたことがある人が多いのではないかと思います。

パリ・ミラノ・ニューヨーク、そして東京。

世界4大コレクションと呼ばれてますが、その中でもパリコレは最も知名度が高いコレクションです。

今回はそもそもコレクションって何なの?という話から、そこから何を得れば良いの?といった話をしたいと思います。

コレクションは元々はオートクチュールの発表会だった

オートクチュールというのは、あるお客のためだけに素材を選び、服を仕立てることです。 HAUTE(高級な)+COUTURE(仕立て屋)ということで、いわゆる貴族階級の富裕層向けの存在でした。20世紀初頭までパリには高級仕立て屋がたくさんありましたが、ウォルトというイギリス人デザイナーがオートクチュール協会というものを作り、それらをまとめます。それまでは顧客の要望を受けて服のデザインをしていたのですが、この頃からデザインはデザイナー主導となり、顧客は気に入ったデザインの服を、自分の身体に合わせて仕立ててもらうという流れに変わっていきました。ファッションコレクションというのは、デザイナーが顧客に向けて新しいデザインの服をプレゼンをする機会として生まれたのです。

その後プレタポルテ(既製服)が全盛となり、コレクションも今の形態に落ち着きましたが、元のオートクチュールコレクションもまだパリには存在してます。とはいえ規模は縮小してますし、われわれ一般庶民には縁がない存在となっています。

絵画を鑑賞するようにコレクションを楽しむ

ではそんなコレクションを、そのブランドのファンでもない私たちはどう見れば良いのでしょうか?

「絵画を鑑賞するようにコレクションを楽しむ」

私はこう考えます。

我々の業界にはコレクションを分析して、次のトレンドを予測したり、今後ヒットするであろうアイテムを紹介したりすることで、お金稼ぎをしている人たちがいっぱいいます。またコレクションの内容に影響を受けて(パクって)、商品開発をしているブランドも多数あります。でもトレンド関係なく、長くファッションを楽しもうとしている私たちには、そういう情報は不要です。

そうではなく、コレクションで使われるいる素材の素晴らしさとか、色の美しさなどを純粋に楽しめば良いのではないかと思います。

例えば私はアンリ・マティスの絵が好きですが、それは単純にマティスが創り出した青や赤の色が好きだからです。構図がどうとかフォービスムがどうとか、細かい理論や背景はよく分かりません。好きから始まって色々深堀りしていくことも大切ですが、まずは肩の力を抜いて絵を鑑賞するように僕はしてます。

ファッションコレクションを観る場合にも、同じようなスタンスで良いのではないでしょうか。

そもそもコレクションを見る必要があるのか?

私は見る価値はあると思います

それはコレクションというのは、単に洋服やアクセサリーといったモノだけの話ではなく、今の社会情勢や時事的なトピックスを踏まえて、デザイナーというクリエイターが感じ取ったものを発信する場でもあるからです。服だけでなく、BGMやモデルの選定も含めて、何かしらの意図が込められており、そこから感じ取ることができるものがあると思います。

その点で言えばコレクションは現代アートのような側面もあると思います。コレクションではよく「こんな服をどうやって着るんだろう?」と突っ込みたくなる作品も出てきますが、それもアートの要素が強く出ているからです。

絵画鑑賞が好きな人に、絵を見て何か役に立つんですか?と聞いても愚問以外の何でもありません。生きるために必要かどうかでいえば不必要かもしれませんが、絵画もファッションも人間が創り上げてきた財産ですので、興味を持つことに意味はあると思います。

何よりコレクションが無料で見れる今の時代

20年前では想像すらしませんでしたが、今はコレクションのルック全ての画像をタダで見ることができます。これはコレクションの商業的な意味合いが強くなっているためでもありますが、一度発表されたコレクションは、ネットを通じてあっという間に全世界へ広がるのです。

かつては一般にコレクションの写真は装苑やハイファッションといった、一部の雑誌でしか見ることができませんでしたし、業界人向けの情報誌はぶ厚く、高価なものでした。

またパリや東京のコレクションを直接観たこともありますが、ショーの写真を撮るなんてことは当時ご法度でした。写真、動画撮りまくりの今とは全然違います。

画像や動画だけで得られる情報量に限りがあるのは事実ですが、無料で見れるものを有効活用しない手はないでしょう。

どのコレクションを見れば良いのか

色んなブランドのコレクションを観て、気になったブランドを追いかけてみてください。

追いかけるというのは結構大切なポイントで、定点観測ではないですが、同じブランドを見続けていると気づく変化があると思います。

ちなみに私が良く観るのは、

冒頭でリンクを貼った、ドリス・ヴァン・ノッテン

マルタン・マルジェラ

イヴ・サンローラン

コム・デ・ギャルソン

等です。

どれもトラッド的な要素を持ったブランドだと捉えており、憧れの存在でもあります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました